
マスキング中
昨年から京都店オープンに合わせ施工をご希望されて、
何回もメールにてやり取りをさせて頂いておりましたが、
オープン前にはどうしても日程が合わず、
京都店オープン後に車両診断をさせ頂くこととなり、
京都店オープンの翌週にいらっしゃっていただきました!
メールやり取りでは、
大阪の方と言う事は存じており、
お車は旧車ジャンルに入ることまでしか知りませんでしたので、
メーカーや車種は全く分かりませんでした・・・
ご来店時工場内で雑務をしていると、
外からイタリアンV8らしきエンジン音がしてきます?
まさかと外を見てみると、まさかのフェラーリしかも328GTBでした!
基本スーパーカー嫌いの私も、
この時代のスーパーカーはメーカーに関係なく好きです。
弊社は昔から初見のお客様の場合は、
既存・会員様のご紹介か、
普段使いのお車をまず施工させて頂かないと、
基本的にはスーパーカーの施工は致しておりません・・・
理由はいくつかあり、
- 車両価格が高額すぎ不慮の出来事が起きた際の賠償(受託自動車賠償保険は加入はしています)に難がある。
- 過去ディーラからお聞きしている話で、所有者の多くが職業不詳で、オーナーの情報(反社会的組織等との関係性)がつかみにくい。
- 個人的感覚ですが、スーパーカー系のクラブ参加やツーリングにも参加してきて、オーナー様方と感性が合わない方が圧倒的。
当の、
ほぼ個人的偏見とも言えますが、
直接の知り合いではないですけれど、同業者でこのようなお車の施工を行ったことで、
倒産や閉店の憂き目を見た方の話を聞いておりますので、
率直に言えばリスクを回避したいというのが本音です。
ましてや今回のお車は、最近購入されたお車ですが、
何せ30年近く経過し修理履歴(板金塗装)もはっきりしませんから、
一見程度良好に見えて膜厚上も問題ないようでも、
その裏に潜むリスクは計り知れませんし予測は付きません・・・
では今回何故初見でご依頼をお受けしたか?
まずは、
何回ものやり取りを経ておりますので、
多少の人間性はメールの文章でも推し量れますし、
実際お会いしてみた印象も非常に穏やかそうな方ですし、
見栄でフェラーリ購入されたわけではなく、
このお車がお好きで大事にされるであろうことが想像つきましたので!
リスク説明も致しまして、
リスク回避のできる限りの神経は使いますが、
それでも予想外のことは起きえることもご理解いただけましたので、
正直それでもかなりのリスキーさはありますが、
施行させて頂く事といたしました。
これがちゃらけた服装と、
横柄な口調でいかにも輩的であれば、
お断りしていたでしょう・・・
関西在住の方からすると、
偏見に満ちている・・・
と言われ、
お叱りを受けるかもしれませんが、
関東エリアましては長野の山から下りてきた自分にとっては、
関西こそ生き馬の目を抜く的得体のしれない恐怖があるのです。
実際長野店お客様に関西方面(出身も含め)の方は1割にも満たないですし、
記憶の中では私自身プライベートでお付き合いさせていただいた方は、
恋愛関係で過去二度ありますが、
煮え湯を飲まされていますし、
現在お付き合い中のオネイもかなり意思疎通には困惑しています、
それを除けば皆無だと思います。
そこに持ってきて、
周囲からは相当脅されましたから、
先入観もありますが、この5年ほど頻繁に京都に足を運んでの、会社や業者やその他の方と接してみても、
正直中々腹が読めないというかとっつきにくいのが印象です・・・
この時代のフェラーリは非常にコンパクトですし、
シンプルに作られていますから、
今のフェラーリのような毒々しさは微塵もなく、
ありていに言えば品がよく美しいスタイリングです!
但し、
約30年前のモデルとなりますが、
性能からするとスーパーカーの性能はこの当時で突出しているか?
と言えば、
遅くは無いですが速くもなかった印象です・・・
当時のGTRやランエボやNSX等国産と比較しても、
ほとんど優位性は無いでしょう。
逆にパワーステアリング無しとか、
くそ重いクラッチとか、
効かないエアコン等負の要素の方が多いくらいですが、
ひとたび走り出した時の官能性、エンジンフィール・エキゾースト&エンジン音やシフトタッチサスペンション作動等は、
走る喜び操る喜びを存分に与えてくれます!
328は運転したことは無いですが、
過去308はお借りして乗り回したことがありますけれど、
150㎞超えると空力プアですから恐ろしいですけれど、
そこまでの速度域はすごく官能的でした。
但し相当運転難しいですが、
そこが喜びですね!

ペダルレイアウト
オルガン式アクセルペダルがいいですね!
配置もとてもヒール&トウがやりやすいですし、
スポーツカーによくある体がねじれた着座位置にもなりません。
但し、
クラッチが恐ろしく重いですから、
強化クラッチの車とかに慣れていない方では、
ふくらはぎ筋肉痛必然・・・
渋滞はまったら置いて帰りたくなるでしょうねー

メーター&モモステアリング
いかにもスポーツカーというメーターレイアウト!
このアナログ感がいいですね。
この時代基本的には不具合はモニターに表示されませんから、
これらメーターを確認しながら車の状態を把握する必要がありますが、
今の車は必要最小限すらメーターついていませんから、
結構不安になるときあります・・・
乗っていて違和感感じても、
トラブル表示でないこと多々ありますから、
突如走行不能と言う事は、
今の車の方が確率は高いでしょう。
この時代のフェラーリのステアリングはMOMO製ですが、
私は若いころMOMO嫌いで、
ナルディ派でしたが、
嫌いな理由はMOMOのステアリングの多くは握りが太いんです・・・
けれど、このフェラーリ純正は太さ的にも革質ともに手になじみます!

シフトリンゲージ
パドルシフトになる前のこの切り出しのHパターンリンゲージカッコいいですね!
これをカッチカッチて決めてシフトチェンジは気持ちいいですよー
但し、
意外とストローク長いのとセンターの遊びクリアランスが少ないので、
素早くシフト行うのにはかなりの慣れ必要ですが。
これに慣れるとシーケンシャルも左程違和感感じずに操作できるかも?

センターコンソール
この部分は昔から好きになれない部分・・・
この四角のスイッチベースがどうも違和感感じます。
同じような理由でランチャデルタのメーターも好きになれません・・・

外側サイドブレーキ
この頃のスポーツカー系サイドブレーキは、何故かドア側にある車が多い?
しかも作動方法及び解除方法が判りずらい・・・
多分今のサイドブレーキしか知らない方は、
使い方判らんでしょうねー

運転席フロアマット汚れ
リアウインドウ下染み

助手席フロアカーペット汚れ

助手席フロアカーペット汚れ
“車内丸洗いクリーニング”のご以来を頂きました!
糊等で貼り込まれたルーフのような部分は、
イオン洗剤でのトルネードガンによる施工若しくは、
それでも剥離危険性がる場合はハンドスプレー後空拭き拭き上げとなりますが、そのようなリスクのない部分では汚れの種類に応じた洗剤を事前にスプレー浸透させ、
所謂リンサーといわれる熱湯を吹きかけながら同時にバキュームしていく機械を使用して洗剤が素材から完全に除去されるまでこの作業を行います!
対アレルギー性の人体安全性はイオン洗剤もリンサー用洗剤も同等ですが、
特に油性汚れに関しましてはリンサーの方が除去性能は2倍以上あるでしょう。
但し、
素材に対しての負荷は熱湯を使用する分リンサーのほうが大きいと思いますので、
素材自体が紫外線劣化しているような場合は、
色抜けや毛羽立ちの可能性はありますので、
その際はイオン洗剤&トルネードガンに留めておいたほうが無難です。
このお車の場合、
日が差し込みやすい場所と日陰部分での色差が殆んど有りませんでしたので、
カーペット部分とフロアマット部分はリンサーにてクリーニングをいたしました!

車内丸洗いクリーニング後=リンサーバキューム水の汚れ
一見は一部ある染み以外は結構綺麗に見える布製素材部分も、
リンサーが熱湯を吹きかけバキュームしていくと、
汚れと共に吸い上げられた水はこんなに汚れています・・・
恐らくこの中には蚤やダニも含まれているでしょうし、
吸い上げきれない蚤やダニも、
シートの深い部分に潜んでいない限りは卵があったとしても熱湯で死滅しているでしょう!
大人もそうですが、
特にお子さんにはアトピーやアレルギー体質の方かなり多くいらっしゃいますから、
狭い密閉空間である車内ではアレルゲンとなりやすい蚤・ダニが繁殖しやすいですから、
この車内クリーニングを行えばかなりのクリーンルーム化が可能でしょう!

運転席フロアマット・丸洗いクリーニング終了

運転席シートレール可動部・汚れ残り

助手席フロアカーペット・丸洗いクリーニング終了
リンサーという熱湯と吹きかけつつ、
バキュームで吸っていくという構造のクリーニング器械を使用しますが、
機械の性能も高性能ですが肝は事前に汚れを分解させるための洗剤です。
汚れにはいろいろの種類があり成分が違いますので、
汎用洗剤で落ちない部分は更に分解に適していると思われる洗剤で繰り返します!
洗剤成分がバキュームから泡状になって吸い上げられ無くなれば、洗剤残留は無くなっていますので、
そこまで根気よくリンスしていきます。
それでも多少の残留があったとしても、
使用している洗剤は人体安全確認及びアレルギーテストでも安全性が示されていますので、
洗濯洗剤くらい安全なものです!
レザーメンテナンス・プレミアム=拭き上げ後のタオル付着汚れ

レザーメンテナンス・プレミアム=レザー洗浄後洗剤拭き上げによるタオル汚れ付着
今回ご依頼頂いた、
“レザーメンテナンス”は、
車内丸洗いクリーニングを同時ご依頼された場合、
STDであれば車内丸洗いクリーニングに含まれますが、
今回は“プレミアム”でのご依頼ですのでその場合は、
車内丸洗いクリーニング料金+レザーメンテナンス料金となってしまいますけれど、
この様な場合は本来シート以外は別料金となるレザー部分も、
総てプレミアムでのクリーニングを追加無しで行います!
どちらのご選択が得なのかは、オーナー様の考え方でしょう。

レザーステッチほつれ&しぼ黒ずみ

レーザーひび割れ初期
プレミアムメンテナンスでは、レザー専用ブラシにクリーニング剤を付け、汚れがでなくなるまで汚れ洗浄をいたして、その浮いてきた汚れをぬらしたタオルで拭き取りつつ、洗剤成分が残らないように何回も水拭きを繰り返しますから、
レザーにひび割れがあったり縫製の糸がほつれ始めているような場合は、
プレミアムでの施工はお受け出来かねます・・・
このくらいまでが限界です!
これ以上痛みが進行していますと、
ほつれやひび割れが進行したりする可能性が高まります・・・
これ以上の痛みの場合は、
レザーリペアを行っても短期的誤魔化しにしかなりませんから、
潔く貼り替えをされた方が良いでしょう!
今はレザーも選択肢が非常に多くなっていますから、
かなりオリジナルに近いクオリティーに戻せるでしょう。
見た目のレザーの状態からすると、
予想より相当汚れの状態はヘビーです・・・
経年からするとレザーのフレキシビリティーはかなり保たれていて良い状態でしたが、
逆にそれがこれだけの汚れの原因になっていたと想像されます。
と言うのは、
前オーナー様恐らく定期的にレザー保湿クリームは塗りこんでいらっしゃったのでしょうが、
その際恐らくクリーニングをせずに上塗りを繰り返していたため、
古い油脂の角質のようになっていてってしまっていたのでしょう・・・

レザークリーニング・プレミアム施工終了
上の写真の左側の黒い部分は汚れの拭き残しですが、
ステッチとしぼにはこれだけ汚れが入り込んでいたことになります・・・
鉄粉クリーニング中
流石に普段お乗りになられないといっても、
流石にこの年式ですし駐車環境も大型の立体駐車場で完全なクロースドでは無いそうですので、
駐車中に鉄粉は付着してしまいます・・・
洗車もご自身での洗車環境がないのかは判りませんが、GSや洗車屋さんにお願いされているそうですが、
流石に鉄粉付着まで考慮して洗車はされないでしょうから、
スクラッチというより鉄粉引きずりと思われる線傷は、
特にパーツ近辺や凹部に多く集中しています。
この様に頻繁に使用されずに屋根付き車庫保管されているお車の場合、傷を入れてしまっているもう一つの大きな理由は、
乾拭きです・・・
汚れが付着しているわけではなく、ボディに乗っているだけと思い、
ほこりを払う感覚でクロスや毛羽たきでこすってしまうと、
相当軽く行ったつもりでも実際は埃・鉄粉等を引きずり傷を入れてしまっています。
繰り返し言っていることですが、どのような方法であっても、
車に触る行為(洗車も含め)自体が必ず傷を入れていますので、
傷を入れたくなければ乗らない触らない、
それでは車の存在価値がないと思われる場合は、
傷入れは許容するしかありません・・・
私も長らくこの事で悩み、
一番大事にしているジャガーは極力乗らないようにしてきましたが、
この数年は流石に普段使いはしませんけれど、
必要性のあるシュエーションでは積極的に乗るようにしています!
車は乗り走ることでこそ、
その存在価値を引き出せるものですから、
その代価として車が傷むことは必定と最近は得心しています。
コレクターの様に出来る事も素晴らしいかもしれませんが、
これには経済力と車の存在価値感の割り切りが必要でしょう。

磨き前ボンネット傷

磨き前ボンネット膜厚
フロント部分(ボンネット・左右フェンダー・バンパー)は
この膜厚からも再塗装されていることが明白ですが、
色合わせは完璧といえますけれど、
板金技術的には中程度の仕上がりで、
場所場所によってはパテも盛って在りますので、
何故交換してしまわなかったのか?
という疑問も残りますし、
1コートソリッドではなくクリアありの2コートソリッドでありながら、
かなりの深いシングルポリッシャー傷も散見されます・・・
フロント部分以外は膜厚計測上ではオリジナル塗装と予測される部分が多いですが、
部分的に暈し痕や肌の荒れ感やパテびけ痕のようなものも散見されますので、
パネル全面の補修ではなく部分補修個所もかなり多そうですので、
今回の施工はかなりデンジャラスです・・・
そのようなリスクが予測されなければ、
程度的に言えば03スタンダード磨きコースが妥当ですが、
わからないことが多すぎるお車ですので、
“01スタンダード・ソフト磨きコース”が限界です!
過去事例からすれば、これでも塗装無くなる可能性は否定できません・・・

磨き前左クォーター傷

磨き前左クォーター傷
大事には扱われてきてはいるのでしょうが、
やはり傷の入り方は結構激しいです・・・
今回01スタンダード・ソフト磨きコースですので4μの研磨ですが、
相当深い傷もありますから、
どこまで傷の処理がしえるのかは?
過去フェラーリディーラーとは懇意にしている時期もありましたので、多くのフェラーリ見てきましたが、
正直な印象本当に傷がなく、
きちんと手入れされているフェラーリを見たことがありません・・・
この印象は弊社お客様からもよく聞きますが、
多分格好の良さの視点が違うんだと思います。
フェラーリミーティングやツーリングに参加してお話を聞いていても、話題・注目されるのは、パーツの話やどこに行って、どこに泊まり、どこで食事をしたとか、腕時計が何を買ったというような、
貧乏人からすると金持ち自慢であり、
車そのものの話は殆ど聞きません・・・

磨き終了左クォータ

磨き終了左クォーター
何とか規定研磨膜厚でも相当傷は処理出来て、
恐らくは1/1000くらいにはなったと思いますが、
当初予想の様に再塗装や暈し痕などのリスクの他に、全オーナーの時代でしょうけれど、
かなり無茶な磨きが入れられていたらしく、
フェンダーエッジ部の塗装があっという間に薄くなっていきます・・・
エッジ部分の塗装がやけにけば立っていたので、
怪しいと思いエッジ自体にバフは当てていなくても、
上面平面部の研磨でのバフ接触だけで塗装が薄くなるとは。
恐らく、
この部分も過去磨きにおいて既にエッジを過研磨してしまい、
1コートソリッドですから簡単に暈し塗装が可能ですのので、
それで急場をしのいだのだと思われます・・・
但し、
その部分の膜厚を測ってみても、
130μ以上ありますから恐ろしい厚さでサフェーサーが吹かれていることになりますので、
当初2コートソリッドで塗装されている部分のみが板金塗装されていると予想していましたが、
どうやら1コート部分も相当昔に再塗装されてる可能性が高いです。
そうでなければ、130μ以上のサフェーサーなどメーカー塗装では考えられませんから・・・

リアフェンダーエッジ塗装剥離直前
上記したフェンダーエッジ部分ですが、このように塗装下地であるサフェーサー露出寸前の部分が、
20㎝くらい出てしてしまっていますkれど、
不思議なのはエッジ頂点部分ではなく、頂点より気持ち上になりますので、膜厚確認でも130μ以上ありかつエッジ部分にバフを当てないようにしてもこの様になってしまうとすると、
施工上での危険回避方法はなく、
現状では意匠性回復の処理自体が出来ないお車となってしまいます・・・
長野店では、私の好みもあり相当台数の旧車も施工してきていますが、
今回のような事例は初のことです・・・
過去経験している事例では、
パテ密着が出来ておらず、
ポリッシャーの振動や摩擦熱でパテごと剥離したり、
クリア暈し痕の経年劣化に摩擦熱が加わることで暈し痕がより鮮明になってしまったりはありますが、
今回の様に事前に塗装膜厚での安全確認を行っても、
その判断基準とは違うことが起きてしまうと、
根本的に車両履歴自体が完全把握できていない車両は施工不可とせざろうありませんが、
どうしても意匠性回復を望まれる場合は、
起こりうるリスク全てを免責と事前にご承諾戴く必要があります。

右クォーター=エアーダクトエッジ・サフェーサー露出直前
この部分も上記したフェンダーラインエッジと同じで、
研磨によりサフェーサー露出直前になった部分の、
膜厚が130μ以上あるにも関わず、
すでにサフェーサー透け始めています・・・
この部分は、
施工前のエッジ部分の塗装の色も一寸濃かったし、
表面も荒れていたので筆刺しのような方法がとられていたとお思われます。
更には、エアースクープのドア隣接付近にも板金形成不良個所がありますので、
かなり雑な修理が行われてる可能性が高く、
左右ドアとも閉める際の感触に違和感があります・・・
車検証を見ると15年ほど前に並行輸入されていますから、
その後の修理履歴以上に輸入される前の履歴に関しては掴みようがありません・・・
実際私が以前購入したジャガーのXJ-V12コンバーチブルは、
1オーナーディーラ物で板金補修歴無しと言う事でしたが、
何となく怪しさを感じ内装材引っぺがしてみると、
溶接痕があり実は事故車であったことが露見しましたが、
ディーラーでは事故修理依頼がなかったそうですので、
こうなると修理箇所有無の確認も相当難しくなります。
まさか購入する際に、
内装材剥いでまでは確認出来ないですからねー
とは言え、

バフ洗い水・塗装色落ち
1コートソリッド部分を磨くと、
この様にバフを洗うと塗装色がバフに研磨されて付着してきていることが判ります。
今では商業車ではない限り1コートソリッドの車はありませんが、輸入車ですと有色塗装とクリアを混ぜた1コート練り込み塗料というものもあり、
この場合のメリットは1コートソリッドよりも紫外線白化しにくいことと、
塗装硬度が多少上がりますから傷が多少入りずらくなります!
ソリッド塗装でも、
2コートにして上面にクリアを塗装してあることが管理上は一番良いのですが、
もともと1コートソリッドの車ですと、
どうしても柚子肌感が出やすくなってしまいます・・・
これを極力抑えるには、
有色塗装の段階で一度ペーパーをかけ柚子肌を取り、
クリア塗装後もペーパーをかけ柚子肌を取るという作業が必要となりますから、
莫大な手間がかかりますから、
塗装費用も相当の金額となってしまいます。

磨き前Cピラー傷

磨き前ピラー
この部分も相当な傷が入ってしまっています・・・
向かって右側はルーフに繋がるCピラーで左側はエンジンフードと一体のパネルですが、
この部分も板金が施された痕跡がありますけれど、
写真では判りませんがクリア暈かし痕もはっきりあります。
こうなってくると、
それ以外の部分も入念に観察してみると全パネル板金塗装不良箇所がありますから、
私の見立てでは、フロント部分は日本国内に並行輸入後に板金塗装され、
それ以外はイタリア本国時代に板金塗装されていると予測されますので、
オリジナル塗装部分は皆無と思われます・・・

磨き終了右Cピラー付近

磨き終了Cピラー付近
傷は相当処理できました!
が、
クリア暈かし痕は、
物理的に磨きでなくす事はできません・・・
これも予測の範囲でしかありませんが、これらの補修履歴を見ていくと、
エンジンフードが板金塗装され、
ルーフにもその痕跡があるということは、
側面を押されクォーター~エンジンフード~ルーフと言うモノコック修正やクロスメンバー修正まで及ばないとしても、
そこそこのダメージの事故はされているでしょう・・・
但しそれで、中古車として販売された会社に非があるか?
今後維持する価値のない車か?
と言う判断には、
私は直接的には結びつかないと思います!
と言うのは、オーナー様にお聞きした購入時価格からすれば、
現在の328GTB相場としては平均価格の2/3近くですから、
ある程度何かを含んでいての価格ですし、
工場敷地等で動かした感触的に、
足回りやエンジンに不調感もありませんから、
それだけでも堀出し物とも言えると思うのです!
この年式で、
コンクールコンディションを望めば3,000万~みたいな話ですから・・・

磨き終了

磨き終了ボンネット膜厚
本当はもっとしっかり磨ければ良かったのですが、
いかにせよ過去の補修歴が判然としないのと、
部分的に1コートであったり2コートであったりと場所により塗装方法も違っていたり、
クリア暈しがあったりで膜厚計も頼れないので、
必要最小限しか研磨できませんから、
持っていきたいクオリティーには出来ません・・・
補修歴がなかったり、
いっそ全塗装されていれば旧車でもリスクはかなり下がりますから、
03磨きコースでも行けますのので、
使用過程車が新車を超えるクオリティーも夢ではなかったのですが。
多分今までで施工した中で、
2番目に恐怖を感じた車です・・・
因みに一番怖かったのは、
XJ40系のダイムラーです。

ザイモールWAXカーボン塗り込み中
磨きだけでなく、これだけ塗装自体の正体が判然としない場合は、
ガラスコーティングすらリスクはあります・・・
弊社のラインナップの場合は、
クラスが上のコーティング程危険度が増します。
理由は、
ハイクラスガラスコーティング程強い溶剤でシリカをナノ化させ、
塗装にスパイクさせる構造になっていますので、
溶剤に侵されるリスクと、
スパイクするがゆえに吸い込み斑が出る可能性があります・・・
実際春に発売されたハイモースコートのグロウに関しては、
塗装の程度問わず10年以上経過した車への施工は禁じています。
と言う事もあり、
今回はガラスコーティングは止めて、
❝ザイモールWAX❞のカーボンを施工することとなりました!
実際殆ど乗られませんので、
耐久性にこだわる必要もないですし、
車の雰囲気的にも、
ガラスコーティングよりしっとりとした艶が楽しめるカルナバ蝋の方が合っています。

磨き&ザイモールWAX&オプション施工終了
Ferrari フェラーリ 328GTB(E-ZFFWA)
磨き&ザイモールWAX&オプション施工終了
えも言えぬ深い艶で、
妖艶な艶に圧倒されます!
しかし、このザイモールの施工自体もすでにかなり怪しいといえます。
というのは、
ザイモール自体には一切の研磨成分は含まれていませんが、
それでも塗り込み拭き上げでうっすらクロスに色が移ってきます・・・
当然WAX施工前にはガラスコーティング施工時と同じ水洗アルコール脱脂を行っていますから、
ポリッシング時のコンパウンドカスではありません。
こうなると、
洗車すらもリスクになり、
洗車ですら繰り返すことで、
「エッジが出た・・・」
みたいなことにもなりかねません・・・
このお車に今後ある程度の期間乗られる前提ですと、
数年以内には❝全塗装❞されることを前提とされた方が良いと思われます!
但しこのクラスのお車をある程度きちんとしたクオリティーで全塗装するとなると、
最低150万円くらいは覚悟しなければならないですし、
維持管理のタイミングベルト交換やオイル漏れやゴムブッシュ交換などの、
費用も馬鹿にならないですから、
どこまでこのお車に愛着や執着を持たれるか?
で、結果は真逆になります。
この度は約1か月ほどお預かりをさせて頂、じっくり観察しながら施工させて頂けましたので、私自身勉強にもなり楽しんで施工もさせて頂きましたので、ご依頼頂けて大変嬉しかったです。
ありがとうございました。
問題のこれからどうするかですが、上記しましたようなことが今後出てきますから、ほかに欲しい車などがあれば考えどころかもしれません。
ただ、同一車種で買い替えを考えた場合、問題は違えども似たような維持リスクは必ずありますから、個体を変えたから今よりも条件ましになるとは、必ずしも言えないところが怖いところです。
私は結構思い入れをしてしまうタイプですので、なんだかんだとお金を消費しつつ手放せません。
W124等は、20年の間の維持コスト新車楽に買えるだけつぎ込んでしまいましが、唯一無二と思ってしまうので後悔はありません。
よく考え検討してみてください。
これからしばらくはまだ暑くて乗る機会もないでしょうが、涼しくなりましたら、またドライブがてらお寄りください。
PS:開店祝いのお品まで頂きありがとうございました。
話し込んでしまい、お帰りの際のプレゼントやお返しと高速代バックまで、お渡しそびれてしまいすみませんでした。
にも関わず、お礼のメールまで頂き恐縮です。
ありがとうございました。
車輌クラス | クラスX-1 |
---|---|
磨き | |
オプション | |
施工料金 | 292,069円税込み(輸入車割り増し磨き+10%・ソリッド塗装割り増し磨き+10%・濃色車割り増し磨きランク1+10%・車体形状割り増し磨き+20% 適応・高速代バック別途) |